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「お手盛り介護」「ひもつきケアマネ」実態は 反響特集

 連載でお伝えした「お手盛り介護」「ひもつきケアマネ」(2月18日付朝刊)に対し、多くのご意見が寄せられました。これらをもとに取材した結果や取り組みなどを紹介します。

「3時間いて欲しい」

 毎週末の午後、堺市に住む80代女性は市内のデイサービス事業所に通っている。介護の度合いは、最も軽い「要介護1」だ。事業所からは「3時間いてほしい」と言われるが、家事をこなさなければならず、2時間ほどで帰宅する。
 ところが、利用明細にはデイサービスの時間が「3時間以上5時間未満(3~5時間)」とある。これで事業所に払われる約4800円のうち、9割が介護保険、1割が自己負担だ。
 厚生労働省によると、介護保険を使うデイサービスの基準は「3~5時間」「5~7時間」「7~9時間」が原則で、「2~3時間」は高齢者が早退する場合などに限られる。事業所は保険を使おうとして水増しして請求しているのだ。
 本来ならデイサービスが短く安く済む高齢者もいる。だが、国の基準が実態に合わないため、お手盛り介護の温床になり、高齢者に合わないサービスや介護保険の無駄づかいにつながっている。
 堺市内の別のデイサービス事業所では、約6時間のサービスを「7~9時間」にするという。高齢者には「送迎の時間もある」などと説明しているが、国の基準ではデイサービスに送迎時間は含まれない。
 「もうけを少しでも上乗せするための水増し。どこの施設も似たようなことをしている」。市内のある事業所社長は打ち明ける。
 堺市は昨年暮れ、市内の事業所に「サービス時間が実際と異なる場合は計画を変更すべきだ」などとする通知を出した。だが、市内で介護サービスなどを提供する事業所は1500カ所を超え、毎年約200カ所のペースで増える。一方、今年度に市が立ち入り調査できるのは130カ所ほどにとどまる見通しで、監視体制が追いつかない。
 「めったに(不正で)介護事業者の指定が取り消されることはないから、少しくらい多く取らないと損だという空気がある」。大阪府内で訪問介護事業所を経営する40代社長は言う。

不要なサービス盛り込まれ

 デイサービスや訪問介護、特別養護老人ホームなどのサービス利用計画(ケアプラン)はケアマネジャーがつくる。事業所や施設の意向を酌み、必要以上にサービスをつける「ひもつきケアマネ」の例もある。
 中国地方に住む70代女性は、数年前に父親が脳梗塞(こうそく)で倒れ、翌年に亡くなるまで自宅で訪問介護やリハビリを利用した。驚いたのは、月25万円近くになる自己負担の請求額だった。
 父親は最も重い「要介護5」だったが、介護保険の利用限度額は約35万円で自己負担は1割の約35,000円で済むはずだ。「ケアマネから事前にプランの内容や限度額の説明を受けなかった」と女性は主張する。
 プランを事業所に確認すると、着替えやマッサージなどの介護やリハビリが毎日数回入っていた。保険の限度額を超え、保険外で自費で支払うサービスが月20万円以上も盛り込まれていたという。
 プランをつくったのは、リハビリを担当する病院グループのケアマネだった。「ケアマネの裁量は大きく、事業所と組めば何でもできる。介護保険を運営する市町村はもっとチェックするべきだ」と訴える。

「外マネ」目指す人々も

 事業所や施設のひもつきケアマネにならないよう取り組む人たちもいる。
 ケアマネジャーの宮崎直樹さん(36)は東京都江戸川区で「介護屋みらい」を経営する。事業所や施設から独立し、ケアマネだけで運営している。
 2012年に開業し、いまは6人で約170人の高齢者を担当する。
 月1回は高齢者に会って体調などをチェックし、ケアプランの見直しが必要だと判断すると関係者を集めて話し合う。調整や連絡に飛び回ることが多いので、ケアマネ1人が担当できるのは30人ほどが限界だ。そこで、1人の担当が30人を超えるたびにケアマネを増やしてきた。
 高齢者1人につき、受け取る報酬は月に1万数千円。今年2月の売上高は約250万円だったが、人件費に約200万円をあて、家賃や諸経費を払うと1万円しか残らなかった。
 ケアマネは利用者が使う介護サービスを選ぶことができる。自ら訪問介護事業所を運営したり、事業所に雇われていたりすれば、そのサービスをつけて売上高を増やせる。
 だが、こうした事業所の「内マネ」になれば、高齢者に合った介護ができなくなるおそれがある。
 「たとえば女性は男性のヘルパーの身体介護を嫌がります。同じ訪問介護でも高齢者ごとに適切なサービスがあり、常に複数の選択肢を示したい」
 宮崎さんは自由にサービスを選べる「外マネ」でいられるよう、経営は厳しくてもケアマネだけの運営を続けていくという。
 「施設などは利用者を確保したいので外マネとその利用者を大切にしてくれます。最近は同じように独立して経営する仲間も増えています」

※ケアマネジャー(介護支援専門員)
 介護保険を使う際、高齢者に会って必要な介護サービスを判断し、家族らと相談して、毎月の介護サービス利用計画(ケアプラン)をつくる。プランがきちんと実行されているかどうかもチェックする。2000年に介護保険ができた時につくられた。都道府県が認定する資格で、全国で約14万人が働く。
 中立の立場で高齢者のために必要な介護を選ばなければならないが、特定の事業所との結びつきが強まると、その事業所のサービスを優先する「ひもつきケアマネ」になるとの指摘がある。
 ケアプランをつくるケアマネの報酬には介護保険があてられ、利用者の負担はかからない。12年に介護保険法が改正される前、厚労省は、ケアマネ報酬にも訪問介護サービスなどと同じように利用者の1割負担を導入する案を打ち出した。利用者が良いケアマネを選択できる競争原理を働かせるためだ。しかし、業界などから「サービス利用の抑制につながる」などの反対意見が出て見送られた。

朝日新聞 2014年3月16日
http://apital.asahi.com/article/news/2014031600006.html

2014/03/16 業界ニュース   enraku