職員体制や安全性、国の法整備遅れ補う
日中に通所介護(デイサービス)を利用し、そのまま施設に泊まる「お泊まりデイ」について、県は職員体制や安全性の独自指針を策定することを決めた。5 月から施行予定で、東京都や愛知県に次ぎ全国5例目。介護負担が減るお泊まりデイの提供施設は増えており、遅れている国の法整備を指針で補う狙いがある。
指針案は10日の県議会厚生委員会で報告された。消防法などの法令順守▽職員1人以上の常駐▽宿泊は原則個室▽事業所から定期報告を求め県ホームページで公表する−−などと定めている。
お泊まりデイは急速に広まっており、県介護指導課が昨年11月末時点で県内1225の通所施設を調べたところ、1割超の128事業所がお泊まりデイを実施。昨年1月時点の78事業所から6割以上増加した。
30日以内の入所ができる「ショートステイ」もあるが、施設が不足しており、お泊まりデイのニーズは増えている。
事業所への聞き取り調査でも、利用される理由は複数回答で「家族の病気、冠婚葬祭や仕事など緊急対応」▽家族の休息▽ショートステイの空きがない▽特別 養護老人ホームなどの空き待ち−−が多かった。中には「(利用者が)1人暮らしで自宅に帰りたくない」という声もあった。
大部屋で複数の要介護者が一緒に泊まるケースもあり、同課は「生活空間としてふさわしくなく、認知症悪化につながる恐れもある」と指摘。現状の問題点の改善につなげるため、防火設備や職員の勤務体制も含めて指針案に盛り込んだ。
同課の高橋邦典課長は「適切に運営している事業所も多く、利用者にとってメリットもあるサービス。指針によって透明性や安全性を確保していきたい」と話している。政令市の静岡、浜松の両市にも同様の指針策定を呼びかけるという。
毎日新聞 2014年03月13日 地方版
http://mainichi.jp/area/shizuoka/news/20140313ddlk22100085000c.html