厚労省は30日、介護保険で「要支援」と認定された高齢者(150万人)に対するサービスの総費用額に上限を設けて、伸びを抑制する方針を示しました。これに基づいて、要支援者への中心的サービスである訪問介護は身体介護に、通所介護(デイサービス)は機能回復訓練に、それぞれ縮小・制限することを提案しました。
同日の社会保障審議会介護保険部会で示したもの。介護保険の中心的サービス投げ捨ては、“介護難民”を増大させるものです。審議会でも「上限設定はサービス抑制につながり、要支援者の重度化を招く」など厳しい批判意見が出ました。
厚労省は、自己負担も含めた介護保険の総費用は2013年の9.4兆円から25年には21兆円になると試算。そのため要支援者向けサービスを市町村の「地域支援事業」に移して、伸び率に上限を設定。75歳以上の人口増加率3~4%に上限を合わせることにより、削減する考えを示しました。25年に見込まれる要支援者向け事業費約1兆円から約2000億円も削減されることになります。
このため訪問介護の専門のホームヘルパーは身体介護などに制限。掃除や洗濯など生活支援は廃止し、ボランティアやNPO(民間非営利団体)に委ねます。生活全体を見て支えるヘルパーの役割は失われます。
通所介護では、専門の介護労働者が働く既存事業所を「機能訓練」などに特化。認知症予防の交流は高齢者自身による「サロン(集い)」などに解消。家族の負担を軽減する「預かり」機能なども市町村の裁量に委ねます。専門性を持った職員による支援は受けられなくなります。
市町村によってサービスが提供されない場合は、利用者が個人負担でサービスを受けるしかありません。サービスがあっても、予算が抑えられるもとで事業者は安い単価で引き受けるしかなく、経営や労働者の賃金にも大打撃となります。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-31/2013103101_01_1.html