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要支援

通所リハビリで要介護重度者を受け入れ 生活改善へ「座れる」目指す

 医療機関や老人保健施設が介護保険で提供する通所リハビリテーション(デイケア)。介護施設が提供する通所介護(デイサービス)と混同されがちだが、専門職が個別リハを行うことで、身体機能だけでなく、生活レベルの機能回復を探るのが持ち味。これまで要介護度の重い人の利用は少なかったが、在宅に重い人が増える中で積極的に受け入れる所もある。

 埼玉県川越市の霞ヶ関中央クリニック(池田弘院長)が、要介護度の重い人を介護保険の通所リハビリテーションで進んで受け始めたのは平成18年。同クリニックの岡野英樹・コミュニティケア部副部長は「重度の人が自宅や地域に帰ってきているのに、受け入れる事業所がなかった。スタッフをそろえ、不安なく受け入れるようにした」と言う。もともと長期療養の高齢者を受ける病院で、スタッフの経験があったことが大きい。
 現在は利用者の半数が要介護3以上。経管栄養や在宅酸素を利用する人も。目指すは「座れるリハビリ」だ。寝たきりの人は車椅子に座れることを、車椅子の人は椅子に座れることを目指す。車椅子に座れると外へも出られる。生活が一変するからだ。家族からの問い合わせは多く、「外出できるんだ」と驚きの声も上がるという。
 同市に住む太田久子さん(64)=仮名=は週3回、日に約7時間を通所リハで過ごす。21年に脳出血で倒れて以来、要介護度は最重度の5。当初は座った姿勢が保てず、家でも寝たきりだった。しかし、2年ほど前から座っていられるようになった。
 夫の勇さん(69)=同=は「寝て過ごすか、座って過ごすかでは、見える風景が違う。ここでの運動で腹筋や背筋がついたおかげだと思う」と喜ぶ。
 久子さんは機能訓練に積極的だ。欠かさず行うのが、理学療法士との30分の歩行訓練。両脇を支えてもらい、約5メートルの平行棒を2往復する。スタッフは「実用的でないかもしれないが、本人の歩きたいという気持ちに応えたい」と話す。実用性に疑問がつくのは、発症から4年がたち、医学的には身体機能の大幅改善は見込めないからだ。だが、スタッフは生活改善の効果を実感する。「本人が歩きたくても、尿意があっても、家では介護者も高齢で介助できない。ここでなら歩かせてトイレにも連れて行ける」。久子さんも自宅ではオムツだが、通所リハでは介助でトイレに行く。
 言語聴覚士とも1対1で約30分のリハビリを行う。舌の運動の後、「あ・い・う・え・お」と発語の練習。「今日は何月何日?」「曜日は?」との質問に懸命に答えた。
 栄養摂取は胃に管を通した「胃ろう」。だが、飲み込みの訓練では、氷水で口腔(こうくう)内の刺激を受けた後、スプーンでコーヒーを飲ませてもらった。「モグモグの動きや飲み込みができるようになった。ゼリーなどで練習し、楽しみのためだけでも食べられるようになるといい」と、スタッフは期待する。
 発声や発語はスムーズではないが、勇さんは「声も前より出るようになった。あうんの呼吸で冗談も嫌みも分かる。会話できると張り合いがある。介護の苦労は全然違います」と話している。

 ■地域偏在で使いにくさも
 通所リハビリ(デイケア)は介護保険で提供されるリハビリ。身体機能の回復にとどまらず、利用者が家でどう暮らしているかを視野に、障害が残るなりに生活しやすいように機能改善を進めたり、個々が役割を果たせるように社会参加を促したりする。
 だが、使いにくさもある。最大の問題は地域偏在。特に東日本では不足が顕著で、必ずしも近隣にあるとはかぎらない。
 ケアプランに盛り込まれないと利用できないが、介護保険には利用限度額があり、「ケアマネジャーによって、リハビリをプランに盛り込むかどうか、個人差がある」といわれる。介護保険でリハビリを使い始めると、原則は医療保険のリハビリに戻れないなどの制約もある。
 事業所を選ぶ際には、(1)個々の生活目標を立て1対1でリハビリを行っているか(2)理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など複数の専門職が配置されているか-などをチェックしたい。
 要介護度の中重度の人を受け入れるかどうかは事業所によって異なる。通所リハビリの利用者の平均的な要介護度は、特別養護老人ホームなどが提供する「通所介護」とあまり差がない。通所リハビリには医師が配置されているが、胃ろうなど医療ニーズのある人の受け入れも多くない。
 厚生労働省は昨年度の介護報酬改定で通所リハビリに、要介護度が重く、医療の必要のある人の受け入れを促した。要介護度が4、5で胃ろうなどの経管栄養、褥瘡(じょくそう)などの治療を行っている人などを受け入れた場合に加算を新設した。しかし、受け入れは広がっていない。
 背景には、重度の人へのリハビリ効果がはっきりしないこともある。効果を感じている事業所がある一方で、重度者の多い事業所は平均要介護度の悪化が大きいとの調査結果もある。機能低下にリハビリが追いつかない格好だ。重度の人にどんなリハビリを、どう行うか-。現場の模索が続く。

2014/3/8 産経新聞

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/140306/ecb1403062126000-n1.htm

2014/03/09 業界ニュース   enraku

「男性が介護」支援の集い

 男性介護者が集い、情報交換などをできる場が、多摩地区で出始めている。両親や妻らを介護する男性は、働き盛りや退職後の年代が多く、仕事との両立の難しさ、孤立化といった問題を抱える。集いはそんな悩みを共有する場になっている。

■「気が楽に」
 立川市内の自営業の男性(54)は、認知症の父親が昨年12月、他界するまでの約4年間、自宅で介護を続けた。父親は入浴の介助や下の世話が必要で、家の至る所で便をしたり、遠くまで徘徊(はいかい)したり。男性はデイサービスやヘルパー派遣などの介護サービスを利用しながら、自らも介護に当たった。「父の状況が悪くなれば、仕事にまで支障を来しかねないと考えると、不安だった」と振り返る。
 男性が悩みを吐き出すために参加したのが、同市の幸学習館で偶数月の第1土曜に開かれる「男性介護者の集い」だ。市北部東わかば地域包括支援センターが主催。社会福祉士らも参加し、市内外から集まる40~80歳代の介護者たちの話を聞く。この男性は「集いでは毎回、同じような不安や悩みを口にしていた。それでも聞いてもらえた。気が楽になった」と話す。

■増加傾向
 厚生労働省の国民生活基礎調査によると、介護者に占める男性の割合は2001年の24%から、10年には31%へと増加している。評論家でNPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長の樋口恵子さんは「今や、男性介護者は少数派ではない。東京のような都市部だと、多忙を極める要職に就いた男性も多く、介護で離職に追い込まれるケースもある」と指摘する。
 こうした男性介護者を支援しようと、各地で集いの会が生まれている。国分寺市の地域包括支援センターひよしも、偶数月の第2土曜に、情報交換会を開き、毎回10人前後が参加。多摩市の医療法人財団「天翁会」は年に2、3回開き、公的サービスの賢い使い方など、介護の知識を学ぶ機会も設けている。担当者は「日常の介護ですぐに使える知識で、悩みを抱えた男性にも喜ばれる」と話す。

■環境作り必要
 ただ、集いのことを知っていても、いざ参加するとなると、二の足を踏むケースも多そうだ。立川市の社会福祉士の一人は「社会で活躍してきた男性はプライドが高く、私生活の悩みについて吐露することにちゅうちょする。参加するまで長い間、悩んでいたという人もいる」と話す。
 樋口さんは「昇進などに影響するという不安から、介護していること自体をオープンにしにくい雰囲気がある。職場でも地域でも男性による介護が当たり前に受け入れられる環境作りが必要」と訴える。

読売新聞 2014年2月22日
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=93400

2014/02/23 業界ニュース   enraku

介護保険、利用者負担2割に 改正法案が閣議決定

介護と医療を見直す法案が12日に閣議決定
政府は2月12日、医療と介護保険制度を見直す「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」を閣議決定した。今国会に提出し、成立を目指す。

改正法案で注目されるのが2015年8月より実施される、介護保険の利用者負担の引き上げだ。適用されるのは年金収入280万円以上の人で、現在の1割から2割に引き上げられる。

特養入居は、要介護3以上に変更
今回の法案では、国から各都道府県へ権限を移すために、消費増税から得られる財源など904億円を投じて、基金を設置することも決まった。

基金は、自宅で暮らす高齢者に向けた医療や介護サービスの充実に充てる。このため2015年4月からは「要支援者1、2」の人への訪問介護や通所介護を介護保険サービスから除外し、地域支援事業へと段階を踏んで移行させる。

特養老人ホーム利用者への支援条件も厳しくなる。特別養護老人ホームへ入居できるのは、原則として「要介護3」以上の人に限定された。

2015年8月から、特別養護老人ホームなどに入居する低所得者への補足給付金も、預貯金が単身で1,000万円、夫婦で2,000万円を超える人は対象外となる。

第186回国会(常会)提出法律案|厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/186.html

けあNews 2014/02/14
http://www.caretomo.com/carenews/237

2014/02/14 業界ニュース   enraku

デイサービス“解体”、生活支援は廃止 厚労省方針 介護保険 総費用に上限 “介護難民”増やす

 厚労省は30日、介護保険で「要支援」と認定された高齢者(150万人)に対するサービスの総費用額に上限を設けて、伸びを抑制する方針を示しました。これに基づいて、要支援者への中心的サービスである訪問介護は身体介護に、通所介護(デイサービス)は機能回復訓練に、それぞれ縮小・制限することを提案しました。

 同日の社会保障審議会介護保険部会で示したもの。介護保険の中心的サービス投げ捨ては、“介護難民”を増大させるものです。審議会でも「上限設定はサービス抑制につながり、要支援者の重度化を招く」など厳しい批判意見が出ました。

 厚労省は、自己負担も含めた介護保険の総費用は2013年の9.4兆円から25年には21兆円になると試算。そのため要支援者向けサービスを市町村の「地域支援事業」に移して、伸び率に上限を設定。75歳以上の人口増加率3~4%に上限を合わせることにより、削減する考えを示しました。25年に見込まれる要支援者向け事業費約1兆円から約2000億円も削減されることになります。

 このため訪問介護の専門のホームヘルパーは身体介護などに制限。掃除や洗濯など生活支援は廃止し、ボランティアやNPO(民間非営利団体)に委ねます。生活全体を見て支えるヘルパーの役割は失われます。

 通所介護では、専門の介護労働者が働く既存事業所を「機能訓練」などに特化。認知症予防の交流は高齢者自身による「サロン(集い)」などに解消。家族の負担を軽減する「預かり」機能なども市町村の裁量に委ねます。専門性を持った職員による支援は受けられなくなります。

 市町村によってサービスが提供されない場合は、利用者が個人負担でサービスを受けるしかありません。サービスがあっても、予算が抑えられるもとで事業者は安い単価で引き受けるしかなく、経営や労働者の賃金にも大打撃となります。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-10-31/2013103101_01_1.html
 

2013/11/02 業界ニュース   enraku